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全国でも有数の産地を誇る、雪国で生まれた多様な織物

新潟の織物

産地:南魚沼市、十日町市、小千谷市、新潟市

THE NIIGATA1F階段奥の壁面では、新潟の10のものづくりにまつわる「新潟のものづくり採集」を展示しています。
このページではそのうちのひとつ、「新潟の織物」に関する詳細をご紹介。実際の展示では各ものづくりの素材や道具、工程などからつくり手の息吹を感じることができますので、ぜひ併せてご覧ください。

新潟の織物

新潟県は全国でも有数の織物産地で、麻織物の最高級品である「越後上布(えちごじょうふ)」のほかに、「小千谷縮(おぢやちぢみ)」「小千谷紬(おぢやつむぎ)」「塩沢紬(しおざわつむぎ)」「本塩沢(ほんしおざわ)」「十日町絣(とおかまちがすり)」「十日町明石(とおかまちあかし)ちぢみ」「十日町友禅(とおかまちゆうぜん)」「亀田縞(かめだじま)」など、数多くの織物があります。
織り上がった生地を雪の上でさらす「雪さらし」は、白く、柄を鮮やかに仕上げるための雪国ならではの技法。この雪さらしを含む手作業による製造工程の希少性が認められ、「越後上布」と「小千谷縮」は1955年に国の重要無形文化財に、2009年にユネスコ無形文化遺産代表リストに登録されています。

雪国に織物文化が栄えたワケ

魚沼地方で1200年以上前からつくられている、上質な麻織物「越後上布」。雪国の湿度の高さが、乾燥に弱い麻の糸を紡いだり織ったりするのに最適で、雪で農作業ができない農家の副業として発展していきました。長い冬を耐え忍んできた人々の忍耐強さが、根気のいる繊細な手仕事に向いていたのも織物文化が根づいた理由のひとつです。

江戸時代以降、麻糸の原料となる苧麻(ちょま)が不足すると、多くの生産者が養蚕へと移行し、絹糸を用いたさまざまな織物が誕生します。「小千谷紬」「塩沢紬」「本塩沢」「十日町絣」「十日町明石ちぢみ」の始まりです。

昭和中期になると、それまで主体だった糸を先に染めてから織る「先染め」から、十日町では「後染め」も手がけるように。高度経済成長期も重なり、着物が普段着から高級品へと移行していった頃に始まったのが「十日町友禅」でした。後染めのなかでも、特に多彩な模様の表現が可能な友禅染に乗り出したのです。染色には軟水が適しており、雪解け水による豊富な地下水がすばらしい発色効果をもたらしました。

一方、北限の綿産地として知られた新潟市亀田地区では、江戸時代から農家の作業着のための綿織物が盛んでした。江戸の優美な伝統色で織られる「亀田縞」の始まりで、一時は潰えましたが、近年、生産を復活させました。

〈新潟産織物の種類〉

  • 越後上布(南魚沼市周辺、小千谷市周辺):苧麻の手績み(てうみ)糸を用いた麻織物。苧麻の繊維を細く割いて、一本一本手でつなぎ合わせる手績みの作業は約5か月かかる。優しくしなやかな風合いが特徴。
  • 小千谷縮(小千谷市周辺):苧麻の手績み糸を用いた麻織物。よこ糸に強い撚り(より)をかけ湯もみをすることで出る、独特のしわ(シボ)が特徴。
  • 小千谷紬(小千谷市周辺):玉糸と真綿の手紡ぎ糸を用いた絹織物。絹特有の光沢と、真綿の温かみが特徴。
  • 塩沢紬(南魚沼市塩沢地域):たて糸に生糸・玉糸、よこ糸に真綿糸を用いた絹織物。蚊絣(かがすり)と呼ばれる非常に細かな模様が特徴。
  • 本塩沢(南魚沼市塩沢地域):生糸を用いた絹織物。よこ糸に強い撚りをかけ湯もみをすることで出る独特のしわ(シボ)が特徴。
  • 十日町絣(十日町市周辺):生糸を用いた絹織物。糸に模様を染める絣の技術で、緻密で繊細な柄を表現している。
  • 十日町明石ちぢみ(十日町市周辺):生糸を用いた絹織物。糸に模様を染める絣の技術で、緻密で繊細な柄を表現している。よこ糸に強い撚りをかけ湯もみをすることで出る独特のしわ(シボ)が特徴。
  • 十日町友禅(十日町市周辺):着物に多彩な模様を施す、後染めの着物。「染め」「絞り」「友禅」「刺繍」「箔」まですべての工程を各社で一貫生産できることが、産地としての強み。
  • 亀田縞(新潟市亀田地域):北限の綿産地である亀田地区で生まれた綿織物。江戸の優美な伝統色で織られた美しい縞文様が特徴。
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