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彫りと塗りの融合と、多種多様な変塗の宝庫

新潟の漆器

産地:村上市、新潟市

THE NIIGATA1F階段奥の壁面では、新潟の10のものづくりにまつわる「新潟のものづくり採集」を展示しています。
このページではそのうちのひとつ、「新潟の漆器」に関する詳細をご紹介。実際の展示では各ものづくりの素材や道具、工程などからつくり手の息吹を感じることができますので、ぜひ併せてご覧ください。

新潟の漆器

村上地域で受け継がれる漆器「村上木彫堆朱(ついしゅ)」。堆朱の「堆」に重ねるという意味がある通り、彫刻を施した木地に漆を塗り重ねて仕上げられます。また、塗りの最後につや消しをすることで、使うほどに色艶が増します。

新潟市周辺でつくられている「新潟漆器」は、“変塗(かわりぬり)の宝庫”と呼ばれるほど、多彩な塗りが特徴。見立てたものを塗りの技法で表現しようとする職人たちの遊び心と情熱から、多様な塗りが生み出されてきました。なかでも竹の節や筋、煤けた表情を漆で表現した「竹塗」は、他産地では見られない珍しい技法です。

風土や土地柄が生み出したそれぞれの漆器

古くから良質な天然漆の産地だった村上地域。江戸時代、村上城主は全国でも珍しい「漆奉行」を置いて漆の生産を産業として奨励し、江戸時代中期には日本一の産出量を記録しました。村上木彫堆朱は武家のたしなみとして武士の間で始められ、藩主の奨励もあって町民にまで広く伝わり盛んに。1976年に新潟県の伝統工芸品に指定されています。

一方の新潟漆器は、江戸時代初期に秋田の「春慶塗(しゅんけいぬり)」が伝えられたことが始まり。北前船最大の寄港地として賑わった新潟には、さまざまな地方の漆塗りの技術が伝えられ、それを発展させてきたことが今日の多彩な塗りにつながっています。2003年に代表的な5技法(花塗、石目塗、錦塗、磯草塗、竹塗)が新潟県の伝統工芸品に指定されていますが、伝統柄に留まらず、新しい塗りを次々と生み出しています。

〈村上木彫堆朱の代表的技法〉

  • 堆朱:木地に繊細な彫刻を施したあと、そこに漆を何回も塗り重ねて仕上げる。
  • 堆黒(ついこく):木地に繊細な彫刻を施したあと、生漆(きうるし)に油煙(黒粉)を混ぜたものを塗り、その後下塗りを重ね黒呂色(くろろいろ)漆で仕上げる。
  • 三彩(さんさい)彫り:木地に朱・黄・緑の3色の漆を塗り重ね、最後に黒漆を塗ってから、彫刻をして仕上げる。

〈新潟漆器の代表的技法〉

  • 花塗(はなぬり):模様や文様を一切つけない、シンプルな美しさのある塗り。
  • 石目塗(いしめぬり):石のザラザラした表情を、炭粉を用いて表現する。
  • 錦塗(にしきぬり):色漆を塗り重ね、表面を研ぐことで不規則なまだら模様にする。
  • 磯草塗(いそくさぬり):色漆を塗り重ね、表面を研ぐことで海草が水の中で揺れている模様を表現する。
  • 竹塗(たけぬり):下地に、漆に砥粉を混ぜた錆で竹の節などをつくり、その上に真菰(まこも)粉や色漆で竹の肌や模様をつけて、本物の竹のように見せる。
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