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「新潟5大ラーメン」と5つの物語。地域に根づく新潟のラーメン文化

日本酒、米、魚……、新潟が誇る「食」はたくさんありますが、実はラーメンもそのひとつです。「ラーメン王国」でもある新潟県で、人気の礎として、県内で長年で愛され続けているのが「新潟5大ラーメン」と呼ばれる5つのご当地ラーメンです。

雪国の知恵として生まれた「長岡生姜醤油ラーメン」や「燕背脂ラーメン」、別添えの割りスープが特徴の「新潟濃厚味噌ラーメン」、屋台文化から生まれた「新潟あっさり醤油ラーメン」。そして、バリエーション豊かに発展し続けた「三条カレーラーメン」と、それぞれが各地域に根づいた長い歴史を持っています。本記事では、5大ラーメンにまつわる「5つの物語」を通して、その魅力を深掘りします。

新潟がラーメン王国である理由

今や、「ラーメン王国」と呼ばれるようになった新潟県。その理由として、地域ごとに独自に進化した「新潟5大ラーメン」の存在があります。

「新潟5大ラーメン」の歴史は古く、どれもが個性豊かです。各地域では、多くのラーメン店がそれぞれの文化を大切にしながら、各店独自の個性を武器にしのぎを削っています。有名店だけでなくそこから派生したバラエティ豊富なお店の違いを楽しめるのも、「新潟5大ラーメン」の魅力のひとつです。

2023年の総務省の家計調査によれば、新潟市は、「1年間の1世帯あたりのラーメンにかけた外食費」で全国2位を獲得。山形市と切磋琢磨しながら全国1位の座を競っています。

最近では、新潟駅のリニューアルにともなってラーメンの複合施設がオープンしたり、「新潟市ラーメンデジタルマップ」を展開したりと、多くの人が「新潟5大ラーメン」をより身近に楽しめるようになりました。

また、新潟市では新たなラーメンプロジェクト「日本で一番ラーメンを愛する街 新潟市」を始動。市内の方はもちろん、新潟市を訪れる多くの方に「新潟5大ラーメン」をはじめとする新潟のラーメンを愛してほしいという想いが込められたプロジェクトで、「新潟市ラーメンガイドブック」が無料で配布されるなどの取り組みが行われています。

新潟5大ラーメンと5つの物語①

長岡生姜醤油ラーメン

最初にご紹介するのは、新潟5大ラーメンのなかでも比較的知名度の高い「長岡生姜醤油ラーメン」。生まれた背景には、県内有数の豪雪地として知られる長岡市の「寒さ」がありました。

「長岡生姜醤油ラーメン」が生まれたのは約50年前。元祖である〈青島食堂〉では、「お客さまにラーメンで体を温めてもらいたい」という理由から、スープの臭み消しに用いていた生姜の量を増やしたそうです。

濃い飴色のスープに食べ応えのあるチャーシューとほうれん草、海苔、ネギと、いわゆる「中華そば」的なクラシックなビジュアルながら、スープをすするとじんわりと生姜の風味が広がるのが特徴です。たっぷりの生姜がぽかぽかと体を温めてくれるラーメンが好評を博し、多くのファンを魅了する「長岡生姜醤油ラーメン」の文化が定着しました。

〈青島食堂〉のご主人の小さな気遣いから生まれた「長岡生姜醤油ラーメン」。雪国ならではの滋味を堪能できる一杯です。

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新潟5大ラーメンと5つの物語②

燕背脂ラーメン

個性あふれるアレンジで店舗ごとのオリジナリティが強く、全国的にも知名度が高い「燕背脂ラーメン」。発祥は、金物産業が盛んな職人のまち・燕市です。

「燕背脂ラーメン」の特徴と言えば、なんといってもその背脂の量。インパクトも抜群ですよね。濃口醤油が効いた煮干しベースの真っ黒なスープに、モチモチの極太麺、みじん切りの生タマネギ。そして、それらを覆い隠すような背脂が特徴です。

燕背脂ラーメン生みの親〈杭州飯店〉では、約50年前の創業当時、金物職人たちへの出前が多かったことから、冬でもスープが冷めにくいように背脂でフタをし、麺は伸びにくいようにうどんのような太さにするなどの工夫を施したのが「燕背脂ラーメン」の始まりでした。

今では全国各地のラーメン店で利用されコクや甘みを加える役割を持つ背脂も、当時は使い道がなく廃棄されていたそうです。

半世紀以上ファンを魅了し続ける「燕背脂ラーメン」。スープ自体には煮干し中心のあっさりとした出汁が使われているお店が多く、見た目ほどこってりしていないのも多くの人に愛される理由のひとつかもしれません。

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新潟5大ラーメンと5つの物語③

新潟濃厚味噌ラーメン

超がつくほどスープが濃厚な「新潟濃厚味噌ラーメン」。別添えの割りスープを加えて好みの濃さに調整しながら楽しむ独特のスタイルで、地元に根づいてきたラーメンです。札幌、山形と並び、「日本三大味噌ラーメン」にも数えられています。

そんな「新潟濃厚味噌ラーメン」が生まれたのは、とあるお客さんに対する心遣いがきっかけでした。

創業当時、西蒲区の岩室温泉に店舗を構えていたラーメン店〈こまどり〉。出前で届けた宿泊客から「味噌ラーメンの味が濃い」という意見があったそうです。

そこでご主人が味を薄めるスープを届けたところ、好評を博し、お店に食べに来るお客さんも割りスープを注文するようになりました。それが「新潟濃厚味噌ラーメン」のスタイルの始まりでした。

味噌の種類や産地、割りスープのテイストによっても「新潟濃厚味噌ラーメン」の味は大きく変わります。文化の広まりとともに数多くの店が生まれた「新潟濃厚味噌ラーメン」。自分好みの味わいを楽しめるお店を探してみるのも楽しそうです。

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新潟5大ラーメンと5つの物語④

新潟あっさり醤油ラーメン

そうめんのような極細麺と丼の底が見えるほど透き通ったスープが特徴の「新潟あっさり醤油ラーメン」。そのルーツは新潟市の「新潟島」と呼ばれるエリアです。

越後平野を流れる信濃川と日本海のあいだに島のように浮かんでいることからその名がついたと言われる新潟島。北前船の寄港地として、また開港五港都市のひとつとして繁栄した歴史を物語るまち並みや建物が数多く残ります。

新潟島は、昭和50年頃までお堀が張り巡らされており、その堀沿いに屋台が立ち並んでいました。そこで誕生したのが、「新潟あっさり醤油ラーメン」だと言われています。

お店と違い、屋台では仕込みも短く、調理器具も十分な火力を得られません。そこで短時間で仕上がる淡麗スープが生まれました。また、麺もすぐに茹であがる極細麺が使われるようになったと言われています。

そんな屋台文化から生まれた「新潟あっさり醤油ラーメン」。あっさりスープとするすると食べられる極細麺は、今でも「〆の一杯」として多くの人に親しまれています。

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新潟5大ラーメンと5つの物語⑤

三条カレーラーメン

「新潟5大ラーメン」のなかでも、実はもっとも歴史が古く、約80年前に誕生したと言われるのが「三条カレーラーメン」です。

ほかの4つのラーメンと比べると全国的な知名度はやや低いものの、バリエーションが豊かで、ラーメンとカレーという2大国民食のかけ合わせは、多くのファンを虜にしています。

昭和初期に銀座の洋食店で修業した料理人が家業の食堂を継ぎ、そこでラーメンとカレーを組み合わせたのが「三条カレーラーメン」の起源と言われています。

「三条カレーラーメン」の定義は「カレー味のラーメン」とシンプル。現在、三条市内の30店以上でカレーラーメンが提供されており、その内容はラーメンの上にカレールーをかけたり、出汁とルーを混ぜてカレースープに仕上げたりと、お店によってさまざまです。

「三条カレーラーメン」は、それぞれのお店が独自の個性を発揮しながら三条地域に定着し、隣り合う燕市の「燕背脂ラーメン」ともまたひと味違うご当地ラーメンです。

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第6のラーメン「麻婆麺」

近年、「新潟5大ラーメン」に続く第6のご当地ラーメンとして、ピリッとした辛さがクセになる「麻婆麺」が注目されています。

味の濃いラーメンが多い新潟県で、その味わいを麻婆麺に応用したことが好評を博している理由です。中華料理店に劣らない本格的なものから、ラーメン店ならではの個性的な一杯までスタイルはさまざまですが、共通しているのはどれも濃厚だということ。

また、麻婆麺以外にも、濃厚な鶏だしスープが自慢の「個性派鶏ラーメン」や、マグロや鴨などユニークなだしで勝負する「進化した淡麗系」、上越市の新たなご当地ラーメン「雪むろ酒かすラーメン」など、第6、第7のラーメンとして期待が集まっている新たなラーメンも次々と誕生しています。

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地元のお客さんを想い、おいしく食べてもらいたいと願って生まれた「新潟5大ラーメン」。いずれもオリジナリティにあふれ、長い歴史のなかで独自のラーメン文化を培ってきました。

「新潟5大ラーメン」のいくつかのお店は首都圏にも進出しています。それぞれにまつわる「5つの物語」を知り、その背景にある歴史に想いを馳せながら、ぜひ新潟が誇る一杯を味わってみてはいかがでしょうか。

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この記事は、新潟県の魅力発信ポータルサイト「新潟のつかいかた」の記事を引用・再編集してお届けしています。新潟県っておもしろそう!と思ってくれた方はぜひ覗いてみてください。
「新潟のつかいかた」:https://howtoniigata.jp/

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